お隣さま ~放課後のアイツと恋の距離~



「泉穂ちゃん」


ボーっと見ていたところに名前を呼ばれ、驚いて振りかえる。


中庭からニーナ先輩が歩いてきた。



「ひとりで何してんの? 学食に用事?」


「いや、用事ってわけじゃ」



なんとなくバツが悪くて否定するあたし。


実際、別に用事はないし、帰ろうとしてたところだし――



「そういえば橘アキ」



先輩の口からいきなりアキの名前が出て、ドッキーン! と心臓が跳ねあがった。