アキの苗字を呼んで、可憐に小走りして行ったのは、モカ。 出端をくじかれたあたしは、所在なくその場に立ち尽くす。 「こんばんは」 「は? 誰あんた」 「モカです。泉穂の親友の」 黒いカラコンで大きさを増したウルウルの瞳で、モカが上目遣いにアキを見つめた。 「……あぁ」 「橘さん、お料理は何が好きですか? あっちのテーブルに美味しそうなのたくさん並んでますよ」