「……ってぇ。少しは空気を読めっての! もう手加減なしだ。本気で行く」


直撃を受けたアサヒはゆっくり起き上がり、再び大きく息を吸いました。

ケイトも何があっても良いようにすぐ力を使えるように意識を集中し始めました。

サワはアサヒに攻撃させまいとまた蹴り飛ばしに行こうとしたその瞬間。


「……っ!? 何だ、この音。歌か? それにしては下手すぎるだろ」


既に先を進んでいたユータとサキの耳にも届くほど大きな、

音程の狂った歌声が無音の世界を一気に変えました。

心なしかその音に耐えきれず壁にひびが入る音も聞こえてきます。