「……ねえ、2人とも」

「良かった。呼吸はしているようだ」

「え、本当!? じゃあ早く手当てしないと。こんな風にした奴、絶対に許さないんだから!!」

「うん、それは良いんだけど……僕の話を聞いて……」


勝手に盛り上がっている2人にイクトは思っている事を言えませんでした。

傷も負っていないのに何故襲われたのだと断定するのかと。

それぞれが別の意味で困り果てていたその時、少年が微かに目を開けました。

少年はかすれた声で、視界に入ったユータに何かを訴えようとしていました。