3バカ+αが魔王様を倒しに行く話。

「お昼まだだったでしょ? これ、女将さんから。サービスだって」


そのパンを見て真っ先に反応したのは少年でした。

先程まで起き上がろうともしなかったのに、勢い良く起き上がったのです。


「お前、まさか……腹が減っていて…………」

「食事を持って来いって言いたかったんだね! ごめんね、気付かなくて!」


ユータは軽く引き、サワは本気で少年に謝りました。

しかし今の少年には2人は眼中になく、

その視線の先には既に女性……ではなくパンにありました。

この様子にイクトと女性はビクつき、女性については持っていた物を落としそうになりました。


「いただきます」

「さ、3人分しかないのでまた持って来るわね……」


真剣な眼差しを向け、少年はまるで“早くパンをよこせ”と言わんばかりでした。