大人2人と子ども1人を次々に殺して、そこで俺の手は止まった。

明るく純粋な瞳だった。
それゆえに、この手で汚してやりたくなるような。

「お前、いいな」

俺はそいつに言った。

「優しすぎる目をしている」

こいつを殺し屋にしたらどうなるだろう。
汚れるだろうか、荒んでいくだろうか。

ただの好奇心から出てきた言葉だった。

「俺と来い、夜十」

光の一筋も届かないような名前を付け、あいつをこの世界に引きずり込んだのは紛れも無くこの俺だ。

そしてすべての希望を失い、殺してくれと頼んできたあいつを傷つけるだけ傷つけて生かしているのも俺だ。

それがあいつにとって一番苦しい方法だと思った。
楽になどさせてたまるか。

お前はもっと汚れてしまえばいい。
その瞳からすべての光を失くしてしまえばいい。


そう思っているのに、あいつの瞳が完全に闇に支配されることはない。
これだけ長い年月を経た今でも、あいつの目には光が残っている。


俺を殺して自由になるという希望がある。