ゆっくりゆっくり目を開けると,そこには―たくさんの花に囲まれた,幸基がいた。
あたしの,大好きな人がいた。
「幸基…」
小さな声で名前を呼び,震えながら1歩近寄った。
目に見える外傷といえば,右頬のすり傷だけ。
車にはねられたなんて,冗談としか思えない。
しかも,もう息をしていないなんてなおさら…
寝てるだけって言われたら,信じてしまいそうだ。
それくらい,幸基はいつも通りで―
起き上がって,あたしに「ばーか」って言ってきそうなのに。
幸基―
不意に,涙が溢れてきた。
最後に幸基と帰ったときと同じで,こらえる暇なんてなかった。
「ほらね…やっぱり」
震える手で,握りつぶさないうちに菊の花を幸基の顔の横に添える。
「わかってた。幸基の顔見たら,涙が出るって」
幸基の頬に,そっと触れた。
その冷たさに,一瞬ひるむ。
「だから幸基の顔見れなかった。あたしたちが4日も顔合わせないなんて,初めてじゃない?」
これからは,それが当たり前になっちゃうんだね。
それも,4日どころじゃない。
ずっと。
永遠に。
あたしの,大好きな人がいた。
「幸基…」
小さな声で名前を呼び,震えながら1歩近寄った。
目に見える外傷といえば,右頬のすり傷だけ。
車にはねられたなんて,冗談としか思えない。
しかも,もう息をしていないなんてなおさら…
寝てるだけって言われたら,信じてしまいそうだ。
それくらい,幸基はいつも通りで―
起き上がって,あたしに「ばーか」って言ってきそうなのに。
幸基―
不意に,涙が溢れてきた。
最後に幸基と帰ったときと同じで,こらえる暇なんてなかった。
「ほらね…やっぱり」
震える手で,握りつぶさないうちに菊の花を幸基の顔の横に添える。
「わかってた。幸基の顔見たら,涙が出るって」
幸基の頬に,そっと触れた。
その冷たさに,一瞬ひるむ。
「だから幸基の顔見れなかった。あたしたちが4日も顔合わせないなんて,初めてじゃない?」
これからは,それが当たり前になっちゃうんだね。
それも,4日どころじゃない。
ずっと。
永遠に。

