あの人は、とても可哀想な人なんだ。 オレたちが生まれてしまったせいであの人は歪んでしまった。 カインが泣くたびに、オレが叫ぶたびに、 あの人の心身は破壊されていったんだ…… もう名前も忘れてしまったけど、なんだか酷く臆病な人だったということだけは覚えている。 まだオレたちが幼かった頃、ゴキブリに絶叫して家中を走り回っていたことも懐かしい。 「……カイン?」 カイルが不可解そうな瞳でオレを覗き込んでいる。 どうやら無意識のうちに頬が弛緩していたらしい。