「どうしたんだい?」 僕の手を引っ張りながらクロが尋ねる。 どうやら長いこと頭がどっかに飛躍していたらしい。 僕は努めて穏やかに微笑みを浮かべ、クロを見やる。 「なんでもないよ。それよりクロ、キミも泥だらけじゃないか。カイルとリンと一緒にお風呂に入っておいで」 「うん」 優しく促すと、クロは安心したように微笑んで駆けていった。 ……彼女もかなり辛い幼少期を過ごしたみたいだからね。 これからは幸せに生きていければいい。