電話で美亜と会話しながら、美亜のいる公園へと歩く。

公園につくと…


美亜が隅のベンチに座って、自分の足元を見ながら電話をしていた。

「美亜」
『ん、何?』
「顔上げてみ?」
『…へ』

すると、美亜は携帯を耳に当てたまま顔を上げた。


正面にいた俺と目が会う。

美亜は…

やはり、泣いていた。


俺は携帯をしまって美亜に近づいた。

「なんで泣いてんの。そんなに俺と電話するのが嫌なのか…」
「違うよ」


美亜は突然の出来事に耳から携帯を外すのを忘れている。

「馬鹿」
「あっ…」

俺はそんな美亜の携帯を手から奪った。


「もう、電話きれてるし。」
「分かってるよ。返して」
「どうせエロいのばっかだろ、今さら隠すなよ」


そんで、2人して笑った。


もう、その時から恋愛感情があったのかもしれない。

気づかなかっただけで…

俺は既に美亜に恋をしていた。


気づいたのがおそかったんだ。

「さーむっ」

携帯を返してもらった美亜はかじかむ手を擦って温めていた。

「どっか入って電話すりゃよかったのに。つか、家とか?」
「もうすぐ夏なのに夕方は肌寒いね〜」
「誤魔化すな。」

美亜はバレたか、といったような顔をした。


「家鍵、忘れた。」
「親は?」
「仕事、つぅか夜遊び?」

美亜が歯を見せてニッと笑う時は、嘘の笑顔。


「俺の家くるか?」
「…ふっ」

美亜は鼻で笑った。