出会ったときの和尚はこんなだったが、彼は決して人なつっこい性格ではなかった。
気がつけば、和尚がよく行動をともにする親友といえば、ぼくぐらいなものだった。


なにしろ、外見があまりにモデルなせいか、どこか近寄りがたい雰囲気があるらしく、とくに女子が彼を遠巻きにして見ていた。


それと、和尚は、勉強がおそろしくできた。

初めての中間テストでは、2位をぶっちぎって堂々の学年トップだった。


「和尚、おまえ、そんなに勉強できるのに、なんでこの高校に来たの?」

「この高校だって、いいじゃないか」

「でも、ダントツすぎるよ。ラサールとか灘とか、ほかにも行くところがあったでしょ」

「おれ、近いところがいい」


ぼくは、和尚のそんな素朴なところが気に入っていた。
しかし、じつは彼の頭脳は、もっと狡猾で計算高いものだった。