「えー?!ぼく、やだよ。ミスコンなんて」

「――でももう決まりだな。ほかのやつらも、さっさと面倒はすませたいのさ」


あっという間にホームルームは終了して、各自解散となっていた。
中間テストが近いので、ほとんどが帰宅の準備をしている。



ざわざわと人の声と足音が混ざる教室で、和尚だけは身動きもせず、じっとぼくを見ていた。
彼の視線ビームはX線仕様で、人がびっくりするほど的確に、物事の骨格をとらえることが出来た。



「なにを悩んでる?」と和尚が口を開いた。

「ぼくが?いつものことだよ。これでも、青春の1ページを読んでる男のコなんだから」

「2ページ目をめくってみると、そこになにかが書いてあったというわけか」

ぼくは、和尚をちらっと見た。