「…恩に着る」

と言ったものの、ぼくにはその実行力があるとは、到底思えなかった。

ぼくは、ぼくにもレクチャーしてくれるお姉さんがいないものかと、ふと考えて、首を横に振った。



後ろから見る、和尚の背中は大きかった。
これが、ヤったことのある男の深みってやつなのか?

ぼくの背中はどうだろう。
結花の身体を、守ってやることが出来るだろうか。


ぼくは、まだまだ子どもだった。
和尚と比べると、自分がとても小さく見えた。