「泣いてなんかない。泣きたいのは漣の方なんだから…。」



本当に優しい人。泣いてないなんて嘘。泣いてたじゃん……。



「………坂原……。聞いてくれてありがとう……。あたし…傷付くのが恐かったの。失明して、大切な人達の顔や、自分の顔さえも何年、何十年経ったら忘れてしまう…。それが辛かった。」




「だから………。人と関わろうとしなかったんだな…。」



関わってしまえば、傷付くのはあたし自身だから…。


「漣……。話してくれてありがとうな。俺、漣の支えになりたい。一人で歩けないなら手を引く。辛いなら抱きしめるから……。俺の事は…拒絶しないで。」



その言葉に胸が温かくなる。こんな事、言ってくれた人は初めてだ。



どんなに拒絶しても諦めないで向かってきてくれた。どんなに酷い事を言っても笑顔を見せてくれた。病気の事を言ったら、あたしより悲しんでくれた…。