あたしが『網膜色素変性症』だと分かったのは本当に小さい頃。 始めは『夜盲』から。 これは夜のように真っ暗になると、物が見えずらくなってしまう症状だ。 逆に明るすぎても見えづらくなる。 網膜は光を受け止めるフィルターのような働きをしている。 その網膜に問題があるあたしには、夜は無の世界。 また、光は病気の速度を早めてしまう。 太陽さえもあたしの敵。 そして、この病気は進行は遅いものの、徐々にあたしの視界を狭めてついには…。 『失明』に至るのだ。