ガチャン
「お帰りなさい。」
家に帰った瞬間、お母さんが立っていた。
「…………………。」
何も言わずに靴を脱ぐ。見なくても分かる。きっとお母さんは………。
泣いてる………。
あたしは何度この人を泣かせたんだろう…。それでもあたしには何も出来ない。もう誰とも関わりたくないから…。
「幸。」
部屋に戻ろうとするあたしをお母さんは呼び止めた。
あたしは振り返らない。
なるべく、大切な人達の姿は見ないようにしてる。
後で自分が傷付くから。
「………またみんなでご飯食べよう?幸がいなくなってから、みんな笑わなくなったのよ?」
お母さんの言葉に胸が痛む。それは………。
「あたしのせい?」
大切だけど、同時に憎い。家族も友人も大好きだった。だけど、あたしはもう…。
人を憎む事しか、出来なくなってしまった。


