「…………………。」
馬鹿……。あたしの馬鹿…。どうして泣いたりなんかしたの…。
「…………………漣…。」
坂原が手を伸ばしてくる。
あたしは一歩下がってその手を避けた。
「………お願い………。あたしに関わらないで…。お願いだから……。」
そう言って精一杯走った。その場から逃げ出すように。
「…漣!!明日、もう一度此処で会おう!!俺、待ってるから!!」
坂原はあたしを呼び止めなかった。その代わりに、もう一度会う約束をしてきた。
「……………っ…」
返事はしなかった。
聞こえてたけど、走り出した足を止める事はしなかった。


