あれから1年という月日が過ぎた。


3月9日…陽の命日だ。あたしは一人、川原に来ていた。



「…陽………。あれから1年だよ…?びっくりするくらい早く時間が過ぎちゃった……。」



巻き戻せるなら、巻き戻したい。陽が傍にいて…笑っていたあの頃に…。



あたしは今、通訳の仕事に就くために、独学で勉強している。目が見えなくても、夢は諦めきれなかったから…。



苦労してないといえば嘘になる。全盲は不利だし、その分物凄い努力が必要なのも分かっている。



陽が繋いでくれたあたしの命…。だから精一杯出来る事をやるって決めた。



「あたし、陽に何回も命を救われたね…。この命…大事にする。陽と皆が…守ってくれた命だから……。」


『お前一人の命じゃない』七瀬の言葉があったから、あたしは前に進めた。


葉月が何度も励ましてくれたから、また笑えた。


家族がいたから…頑張ってこれた…。



そしてー……。



「陽がいたから…幸せになれた……。」



片翼のペンダントに優しく触れる。



陽のペンダントは、一緒に埋葬された。あたしが死んだら、ちゃんと陽の所へと行けるように…その道しるべになればいいと思う。