「…っ…ごめん…ねっ…。」
あたしを庇った陽。あたしが死ねば良かったんだ。
「そしたら…そしたら陽は生きていたのに………っ。」
あたしには、陽無しで生きていくなんて出来ない。
「………だから…陽…。あたしも一緒に……。」
白杖を捨てて、一歩ずつ前に進む。目の前に広がる川に向かって…。
「ずっと…一緒に…。」
ポチャンッー…
足に冷たさを感じる。身を切り裂かれるような冷たさだ。それも今じゃ気にならなかった。
「お姉ちゃんっ!?」
あたしの異変に気付いた望の、切羽詰まった声が聞こえる。
あたしの体はすでに、半分が川の中にある。
この先に…陽が待ってる…。
「馬鹿野郎っ!!戻れ、幸!!」
バシャ、バシャと誰かが川に入って来た。
でもそんなのは関係無い。あたしは進むだけなんだから。
「…陽……?今行くからね…。」
あたしが一歩を踏み出した瞬間ー…
ギュッ
これ以上行かせまいと、誰かがあたしを抱きしめた。


