「…お…ちゃ……」
声が聞こえる…。
「…ねぇ……ん…」
だんだんハッキリしてくる声。煩いなぁ…まだ眠い…。
「お姉ちゃん!!」
「わっ!」
望が耳元で叫んだせいで、飛び起きた。
「…おはよう……。」
耳を押さえながら、挨拶をする。
「おはよう。ご飯だって!ほら、手出して。」
「はぁーい…。ありがとう。」
あたしが手を出すと、望が引っ張ってくれた。
「…階段あるよ。」
「大丈夫。階段は見えるから。」
これ以上…視野狭窄が進んだら……。一人で階段も降りられなくなる。
「…望………。」
「ん?」
階段を降りながら、あたしは望に声をかけた。
「階段って…こんなに怖い物だったんだね…。」
今でさえ怖い。見えている範囲が狭いだけあって、落ちそうな感覚に陥る。
「…お姉ちゃん……。大丈夫だよ!何度だってあたしが支えるから!」
望の言葉に笑顔を返す。
「頼りにしてるよ…。」
前までは、妹に恨まれて…嫌われていたのに…。
今ではこんなに…通じ合えている…。
「…望がいてくれて…良かった……。」
「…お姉ちゃん…。あたしも…だよ…。」
笑顔を交わしてリビングのドアを開けると、お父さんとお母さんの笑顔があった。
こんな幸せな時間が…。ずっと続いてくれますように…。