「……そうだな…。俺が傍にいて幸を傷付けるならって…離れようと思ったんだ。幸が傷付くのは嫌だ…それ以上に、俺自身が傷付けているなんて…耐えられなかった…。」



陽はペンダントを強く握りしめる。その瞳に、迷いは消えていた。



「…でも…間違ってたな…。俺、無責任だった。幸の事…ずっと離さないって約束したのに…だから…。もう離さない…絶対にな。」


陽は七瀬に、笑顔を向けた。その笑顔に、七瀬もつられて笑う。



「おぅ…。頑張れ。あいつの事…泣かせたらぶっ飛ばすからな。」



七瀬はそう言って立ち上がる。



「その時はぶっ飛ばされるよ。」



「覚悟しとけ。そんじゃあな。」



七瀬は背を向け歩き出した。



「全くよ…何してんだか…俺は…。」



七瀬は寂しそうに笑い、空を仰いだ。



「もう大丈夫だな…幸…。」



七瀬の呟きは、誰にも聞かれる事無く空へと消えた。