外に出ると、先程の雨が、また雪に変わっていた。
真っ暗で何も見えなくても、頬に触れる冷たさが、雨とは違って優しいから分かった。
七瀬の顔すら見えないけれど、繋いでいる手の温もりを頼りに歩く。
「…七瀬、今日はありがとう。」
本当は、目を見てお礼を言いたい。でも、そう出来ないから…精一杯気持ちを込めてお礼を言った。
「別に…何もしてねぇよ。気にするな。」
ぶっきらぼうだけど、七瀬の優しさだって分かってるから、見た目が不良でも全然恐くない。
「段差あるから足上げろ。」
「…ん?ここ?」
そんなこんなで、七瀬はあたしを見てくれている。
だから、こんな暗闇も恐くない。信じているから。
「…家はこっちか…?」
七瀬の戸惑った声が聞こえる。あたしの目が使えないせいで、家の場所は言葉で伝えているのだ。
「白い家なんだけど…。」
「…あぁ…あれか。」
どうやら見えてきたようだ。手を引かれるまま歩いていると、急に七瀬が立ち止まった。


