「……話しはだいたい分かった。」
あたしが話し終えると、何か考えているのか、七瀬は眉間にシワを寄せていた。
あたしはそんな七瀬を、見つめる。
「…アンタ……。坂原先輩と縒り戻す気無いのか?」
七瀬の言葉に、あたしは頷く。
「…あたし…陽の事好き。だから…陽には幸せになってほしいの。あたしが傍にいたら……。」
「…本当にそれだけか…?」
七瀬の言葉に、心臓がチクリと痛む。
本当は……。
「……………………。」
言葉が見つからなくて、黙り込んでしまう。
「坂原先輩の幸せとか…自分の病気とか…そういうの抜きにして、あんたの気持ちを正直に言え。」
正直に……。
「…陽と…一緒にいたい…。我が儘だって分かってるけど…陽が好き……っ…。」
ポロポロと流れる涙も、今では気にならない。
これが…あたしの本心…。
「…それが答えだろ?」
七瀬の言葉に、目を見開く。
「…でもっ……。」
金宮さんと陽の話が頭を過ぎる。陽があたしと付き合ってたのは、あたしが病気で…可哀相だから…。
あたしが…陽の心を救った人間だから、恩返しの為に付き合っていたんじゃ…。
ポンッ
「…色々考えるな。」
七瀬はそう言って、あたしの頭に手を置く。


