「…落ち着いたか?」
とりあえずと、七瀬はあたしを自分の家に上げてくれた。
あたしにお茶まで出してくれたのだ。
「…うん……ありがとう…。」
おまけにシャワーや服まで借りてる。本当…どうしようもない先輩だ…。
「……………………。」
あたしは、ぼーっとお茶を見つめる。思い浮かぶのは立ち尽くす陽の姿…表情…。
抱きしめられた腕の強さ…太陽の匂い……。
あんな事されたら…忘れられないじゃん…。
「…はぁ〜……。」
そんなあたしを見て、七瀬は深いため息をついた。
「…何かあったんだろ?」
七瀬の言葉に、あたしは頷く。
「なら話せよ。聞いてやるから。」
言い方は悪いしキツイけれど、それが七瀬の優しさなんだよね。
「…七瀬……。ありがとう…。」
あたしはそう言って、川原での出来事を話した。


