「無理って…何の事だよ!?俺は自分で望んで……。」


「辛いの!!!」



あたしの言葉に、陽は目を見開く。



陽と一緒にいればいる程…。金宮さんとの会話が頭を過ぎる。



あたしを同情して一緒にいるなんて…辛すぎるよ…。あたしには…堪えられそうに無い。



「あたし…苦しいよ…。陽といるのが…。もう…あたしが壊れちゃう…。」



今になって涙が出そうになる。必死に堪えて陽を見つめる。



「…俺と…いるのが辛いの……?」



声を震わせながら、陽は席を立つ。あたしの髪を、優しく梳く。



あたしは黙って頷く。



「…離れたくない……。」


陽の言葉が胸を締め付ける。ついに涙が頬を伝って地面に落ちた。



あたしは首を横に振って目をつぶった。



「…っ…幸………。」



辛そうに陽は眉間にシワを寄せる。



陽はあたしの頬に、優しく触れた。



「俺と…一緒にいると…俺は幸を傷付けるんだ?」



あたしは何も言わずに目を閉じている。陽の顔をみたら…引き止めちゃうから…。




「…分かった………。」



ズキン……

心臓に鋭い痛みを感じた。


「…ごめんな……幸……。」



辛そうに呟いて、陽の手があたしの頬をゆっくりと離れていく。



陽が遠ざかっていく。目をつぶっていても分かる。



ガラガラガラッ…ピシャンッ



扉の締まる音がして、目を開ける。