「おはよう。」
陽と別れ、クラスに入る。本に集中している葉月に、挨拶をした。
「あ!幸ちゃんおはよう!」
葉月は笑顔をあたしに向けて、読んでいた本を閉じた。
「『センター試験対策』…。また読んでたの?」
あたしの言葉に、葉月は頷く。
「うん!試験も近いから。」
そうか…。3年は進路の事で大忙しだもんね…。
本来ならあたしも、進路について考えていかなきゃいけない。でも……。
あたしに…何が出来るの…?
失明するあたしに出来る仕事って…何?
障害者になるあたしに、夢なんて無い。
「…幸ちゃん……?」
黙り込むあたしを、幸は心配そうに見つめている。あたしは慌てて笑顔を作った。
「何でも無いよ。大丈夫。…あたし、1時間目サボるね。」
「えっ…?幸ちゃん!?」
あたしを呼ぶ葉月に気付かないふりをして、あたしは図書室へ向かった。


