12月の上旬。冬休みまで後少し…。吐く息は白く、季節が冬だと告げている。



「はぁー…。」



手を温めようと、息を吹き掛ける。その息が白くなっていた。



「……寒い?」


陽は、あたしの手を掴んで自分のポッケに入れた。



「あ、あったかい…。」



恥ずかしいけど…。こういう陽の優しさが嬉しい。



陽の手も冷たかったけど、繋いでいるうちに、お互いの手が熱を持ってきた。



「寒いなー…。幸、風邪引かないようにな?」


「それは陽も同じでしょ。」



寒い冬の中、学校へ向かいながら二人で笑い合う…。こんな時間が幸せだ。



あたしの目も、今では横にいる陽さえ見えない。



そこまで視野狭窄が進んだのだ。あとどれくらいあなたを見ていられるのか…。


ずっとあなたを見ていたい…だから隣を歩く陽に顔を向ける。あなたがちゃんと見えるように…。