あれからファミレスで昼食をとり、川原へ来ていた。川原に腰を下ろし、二人で寄り添って夕日に照らされる川を見つめる。



少し肌寒い秋の風が、あたしと陽の髪を揺らす。



「…幸と此処に来るのは…何回目だろうな…。」



陽の言葉に、あたしは小さく笑う。



「…さぁ?数えられないくらいかな…。」



本当…この川を、陽と何回見て来たんだろう。いつしかこの場所は、あたしと陽の思い出の場所になっていた。



「…幸、今日何の日か知ってる?」



しばらく二人で川を見つめていると、陽が口を開いた。



「………22日。」



「え、あぁまぁそうなんだけど…そうじゃなくて…。」



その言葉に、あたしは首を傾げる。陽は一体何が言いたいのか…。



「うーん…やっぱり覚えて無いんだね。」



陽は苦笑いを浮かべた。




「幸…。今日は幸の誕生日なんだよ。」



陽に言われて目が点になる。誕生日…あたしが生まれた日?




「知らなかったー…というか忘れてた。」



「やっぱりね。幸、病気の事とか…家族の事とかでずっと一人で悩んで、誕生日とかそういう事を気にする余裕も無くて、忘れてるんじゃないかって思ってた。」



陽の言葉の通りだ。そんな事、考えている余裕なんて無かった…。



今までは…ね…。



陽と出会ってから、自分の事に目を向ける機会が増えた。陽が…あたしの不安を一緒に抱えてくれるから、余裕が出来たんだ。