「幸!!」
陽はあたしの手を引いて立ち止まる。
「これ綺麗だ!赤くて細い!!!」
陽は目を輝かせて目の前の花を指差す。
そんな姿を見ていたら、小さく笑ってしまった。
陽と一緒にいられて幸せ。陽は他人を笑顔にする力がある。本当………。
「太陽みたい……。」
「…ん?」
あたしの呟きが聞こえたのか、陽は不思議そうに振り返る。
「ふふっ…何でもないよ。あ、陽。これはリコリスっていうんだよ。彼岸花の事。」
慌てて話題を逸らす。陽には絶対言えない。だって、恥ずかしいから…。
「へぇ〜って彼岸花!?あのお葬式のやつ??」
陽は驚いたように花を見つめる。
「まぁ…そうだね。でも、すごく綺麗だよね。小さくても存在感がある…。」
赤く凛と咲き誇る艶やかな花。
「俺さ、この花…幸みたいだって思ったんだ。」
「え!?」
驚いて陽の顔を見上げると、照れているのか、頬を真っ赤に染めている。