最後の世界がきみの笑顔でありますように。



バシャンッ


「…冷たい………。」


夏とはいえ、日が暮れると気温も下がる。



バシャッ…バシャッ


帽子はゆらゆらと、水面に浮かんでいる。近付けば近付く程、体が水に浸っていく。



「漣!!何やってんだ!!」



遠くから、坂原の切羽詰まった声が聞こえた。



「大丈夫だよ!!すぐそこだから!!」



坂原に聞こえるくらい大きな声で叫んだ。




「早く戻って!!!」


「大丈夫だよ!ほら!」



掴んだ帽子を掲げて振った。その瞬間―…。



ズボッ


「え…!?」


足元が無くなった。


バシャンッ


そのまま、水の中に滑り落ちる。



「漣ーーーっ!!!」



坂原の叫び声が聞こえた。