「メダカさんがいっぱいいるよ!!」
柚ちゃんは、両手でメダカをすくおうとする。
「あぁ〜っ!!」
メダカはその手をすり抜けるようにいなくなってしまった。
「…………………。」
それを無言で見つめる。
メダカがすり抜けていくその様は、まるであたしの記憶がすり抜けていくような…そんな感覚だった。
バシャッ
「わっ!?」
顔に水がかけられた。あたしより数歩下がった所に、笑っている翼君がいる。
「犯人は翼君だなぁ!」
「必殺!!水鉄砲だ!」
ネーミングがそのままなのは突っ込まないでおこう。
男の子の遊びはやっぱり、体力勝負なんだなぁ…。
「あぁっ!!」
秋君の叫び声が聞こえた。今度は何だと振り返ると、秋君の帽子が、風に飛ばされて川へと入ってしまった。
「……大変!秋君、ここで待っててね。」
靴と靴下を脱いで、スカートの裾を持ち上げる。


