「さ…かはら……。」



あたしも手を伸ばした。最後に……あなたに触れたい。



そう……最後に……。




バサッ


「はぁっ…はぁっ……。」


慌てて飛び起きる。そこは、水の中ではなくて、坂原の家のベットだった。



「…ふぅ………。」



良かった…。安心からか、小さく息を吐く。



何だったんだろう…。あの夢…。夢にしては、すごくリアルだった。



まるで……。本当に体験したような…。



自分の手を見つめる。どうして…坂原が……?



昨日、あんな事があったから、変な夢を見たんだ。



あたしはそう思い込む事にした。そうでないと…とてつもない不安に、押し潰されそうだったから…。