あれから毎日、坂原が家に迎えに来てくれている。


あたしの記憶の手がかりになりそうな所へ連れて行ってくれているのだ。



「坂原まだかなぁ…。」



家の前で坂原が来るのを待っていると、家からお父さんが出てきた。



「あ、お父さん!」



スーツを着たお父さんが、あたしを見て笑顔を浮かべる。



「今日も行くのか?気をつけてな。」



「うん!大丈夫だよ。坂原がいるから。」



そう言うあたしを、お父さんは寂しそうな、嬉しそうな笑顔で笑った。



「坂原君には本当に感謝してもしきれないな。じゃあそろそろ行ってくるよ。」


「行ってらっしゃい!」



あたしの頭を、ポンポンと叩いてお父さんは仕事へ行った。