「…………………。」


退院をして、あたしは、家族と一緒に家に帰って来た。



もちろん、こんな家も見た事無いし、この人達も知らない。



「お姉ちゃんの部屋、こっちだよ。」



そう言ってあたしの手を引くのは、確か妹の……。名前を思い出そうとしても出てこない。さっき聞いたのにな…。




「望だよ。本当に覚えて無いんだね…。」



そんなあたしに気付いてか名前を教えてくれた。望は、苦笑いを浮かべている。あたしと話すのも、何故かぎこちない。



「あ…えっと……望…。」


名前を呼ぶと、望は目を見開いていた。



「あ…ごめん。名前呼ばれるのは久しぶりだったから。」



「え………?」



姉妹なのに名前すら呼び合わない姉妹って…。



「あたし達、仲悪かったの?」



そう言うと、望は曖昧な顔をしていた。