「失礼します。」



夏休みに入って数日。あたしは病院に来ていた。



「いらっしゃい。久しぶりだね。」



いつものように日比谷先生は、笑顔であたしを迎えてくれる。




「お久しぶりです。」



しばらくたわいもない話をしてから、検査が始まった。


「最近は変わった事はあったかな?」



検査をしながら、先生が尋ねてくる。



「…はい。変わった事というか………。」



最近、人とぶつかる事が多くなった。でもこれは…。関係無い気がするし……。



「幸ちゃん、気になる事があったら、何でも話してね。思いがけ無い事が進行のサインだったりするから。」



「あ…はい。実は、最近、人とぶつかる事が多くなったんです。私の注意力の問題だとは思うんですけど…。」




あたしの言葉に、先生の顔色が変わった。




「…な…んだって……?ちょっと待っててね。」


そう言って先生は、慌てて診察室を出て行った。



「な……んなの……?」



急に不安になる。診察室に1人残されたあたしは、自分の体を抱きしめた。