7月の上旬。あたし達3年生は、最後の体育祭に向けて通し練習をしていた。




「位置について!よーい。」



あたしは、次々に走っていく人達を眺めていた。



「当日は曇ればいいんだけどねぇ……。」



保健の竹内 博美(タケウチ ヒロミ)先生が、うちわで扇いでくれた。




「そうですね……。」



不便な目だな…。太陽の光すら眩しくて、夜はほぼ見えないなんて…。



竹内先生もだが、この学校のほとんどの先生が、あたしの目の事を知っている。本来なら盲学校へ通うべきなのだが…。



目が見えているうちから、障害者扱いをされたくなかった。でも結局……。



「あたしは障害者なんだ…。」




皆と一緒にはなれない。