よっしゃ、恋愛小説を書こう





昼休み……。

いつもだったら教室でみんなと食べるお弁当を、あたしはひとり、体育館の裏でつまんでいた。

「さみ……」

教室だったら暖房も効いてるのに、あたしなにやってんだろ。

でも、なんとなく、啓介と、さとこのいる教室にあのまんまいられる気がしなかった。

もし二人のうちどっちかから今話しかけられたら、ちゃんと普段のあたしで返せる自信がない。

なんで、あたしこんな心持になってるんだろ。

啓介が嘘ついてたの、許せないの?

啓介があたし以外の女の子と仲良くしてちゃ、まずいの?

さとこがあたしを試したのが、イヤだったの?

さとこが啓介を好きなのを、認めらんないの?

「はー……これじゃ完ッ璧、あたしがみことだよ~」

小説は、啓介とギクシャクし始めたあの日から、進んでない。

だって、なんか、みことの気持ちがわかり始めて……

どうしてこんな風に感じてるんだろうって、自分でも思ったら。

書けなくなった。

みことが悩んでるように、あたしにも、けいたが――啓介が、わかんなくなった。

さとことどう接していいのか、わかんなくなった。

今まで、あんなになんともなかったのに。

おかしいな、ほんと。