よっしゃ、恋愛小説を書こう

「ふーん。お前の小説の主人公、ことみっての」

「まあね」

「で、男がけいたっての」

「うん」

部活の帰り。今日も校門で落ち合って、一緒に帰っていた。

今はまた、あたしの小説についた感想を啓介に見せびらかしてる。

「ふーん」と、また呟いた啓介が、ケータイを返しながら言った。

「なんか、俺らと名前似てね?」

「…………そんなことないと思いますよ、うん」

「お前、やっぱ嘘下手な」

「ぅぐ」

そうですよ。物語のヒントがあたしら二人なら、名前だって、ことみはあたしの名前をもじっただけだし。

けいたなんか、啓介をモデル(?)にしてるせいでどうしても、「けい」って音から離れられなかったんだよ。

「な、なんか悪いっ?」

「いーや別に。ンなこといってねーし。……つーかさ、まこと」

「うん?」

「その小説、俺にも読ませろよ」

「え゛」

「なに、ダメなの?」

「いや、なんと、言いますか、あー」

あたしが書いたようなものでも感想がついたから、見返してやりたくって感想だけ見せていたものの……。

だって、この物語の二人、あたしらがモデルですぜ?

ってことは……啓介が、勘違いしない?

みことが思ってることは、あたしの気持ちだって。