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「灑梛!?」
『は…母上!!』

音楽室に入って来たのは、灑梛の母親、緋梛だった。緋梛は、東京都靈羅隊救護班長であり、そこらの医師達より断然腕が良い。

「灑梛!?その怪我…」

あまりの怪我の酷さに絶句している緋梛に、灑梛は話しかける。

『母上、私のことは、どうぞお気になさらず。私は瑞希の元に参ります。この場は、任せますね』
「えぇ…わかったわ。それにしても…」

「酷い有り様ね」と言う母に苦笑を返し、灑梛は音楽室を後にした。