放課後、灑梛はウェンディーズの部屋に向かっていた。インターホンを押すと、スウェット姿のウェンディーズが出てきた。

「やぁ、灑梛さん、いらっしゃい。どうぞ」
『おじゃまいたします』

灑梛はウェンディーズに促され、椅子に座った。
ウェンディーズはキッチンへ行き、飲み物を出す。

「はい、どうぞ」
『まぁ、ありがとうございます。それにしても…ウェンディーズ様も、スウェットはご着用なさるのね』
「ハハ…灑梛さん。君は僕を誰だと思ってるの?」
『あら…学園の王子様。ですわね』

そう言って、灑梛は一口紅茶を飲む。

口に広がる、華やかで爽やかな香り。これは、

『ジャスミンティー…』
「そうだよ。灑梛さん、好きじゃなかった?」
『いえ、むしろ逆ですわ』

灑梛は微笑んで答えた。

『(何?なんでコイツ私がジャスミンティー好きだって知ってんの?ストーカー?)』

灑梛は疑問を口にした。

『あの…なぜ、私がジャスミンティー好きだって知っているのですか?』

すると、ウェンディーズは答えた。

「あぁ、だいたいの女性がジャスミンティー好きじゃないか。だからだよ」

―――――灑梛は思った。
『(なんだコイツ…
「当たり前でしょ、何言ってんの?女はジャスミンティーが好きだって決まってんだよ。」
みたいなツラしやがって。脳味噌ぶち撒けるぞ、糞餓鬼!!)』

キレる寸前だった。