灑梛達は本部に戻ると、総領室に入った。

『「任務完了」』
「やぁ~灑梛ちゃん、瑞希くん、お疲れ様。
流石だね」

灑梛達に背を向け、スクリーンを見ていた高麗と、秘書であり、灑梛の母親の緋梛は、同時に振り返った。
緋梛は一礼して総領室を出ると、しばらくして湯気の上がるカップをお盆の上に4つ乗せ、戻ってきた。

「いやぁ~気が利くね、ママ。ママの紅茶はとても美味しいからね」
「あらやだわ、パパったら。ウフフ、ありがとう」

靈羅夫婦はとても仲が良い。だから余計に、

((あ゙ぁ~…殴りたい。))

灑梛と瑞希、二人の気持ちが、重なる。
目の前にでは、いまだにハートを飛び交わしている靈羅夫婦がいる。

『おぃ、父上、母上。
大概にしろ』
「そうッスよ、親父さん、お袋さん。そろそろ本題に…」

灑梛は半分キレかけ、隣に座る瑞希は、その様子をハラハラしながら見ていた。

「あ、今回の事は、明日の地方総会で、発表してくれる?」
「は…?いや、でも…」
「うぅん、明日、皆の前で話してくれる?」
「はぁ…わかり、ました」

瑞希は少々戸惑いながらも、了承した。
いつもは真っ先に報告を聞くのだが、今回はおかしい。

何か、裏があるのか―?