君を愛してない・・・

トントントン・・・・



控えめなノックに二人は顔を見合わせました。



「きっと兄さまですわ。義姉さまを迎えに来たんだわ。」

「え・・・・・・・」



エステルの言葉にルイスは慌てます。



「エステル・・・お願い、ラウノ様だったら入れないでちょうだい。」

「あら、どうしてですの?」

「小間使いの前で恥ずかしい思いをさせられたことには、私も少し腹が立っているの。だから、ラウノ様には反省して頂かないと!」



ツンとするルイスを見て、「姉さまは強くなられたわ」と思ったエステルでした。



「わかりましたわ。義姉さま。兄さまには上手く言っておきます!」



と言い残し、エステルは扉に向かいました。




──────────・・・


ガチャッ



「兄さま?ご機嫌いかが?」



ドアを開けると、いつものように凛々しく、小間使いや義姉が言うハンサムな兄が立っていました。


だが、顔の表情は、情けない・・・照れ臭い・・・はたまた拗ねたような表情だった。



「何か御用かしら?」

「全て事情は聞いているんだろう?」

「えぇもちろん!何と言っても義姉妹ですから、兄さまに話せないことも、私は知っています。」



と、ラウノの嫉妬心を煽るような言葉を投げ掛け面白がるエステルは、今朝のラウノ同様意地悪だなぁと思ったり、やはり兄妹なんだなぁと思ったり・・・・・


ルイスはドアの方を向いてそんなことを考えていました。



「私の妻を返してくれ。」



少し頬を染め、コホンと咳をするとラウノは言いました。