昔々、あるところに小さな王国がありました。


その王国の名前はエルヴァスティ。


小さいけれど、平和な国でした。



その国の奥には鬱蒼とした森が広がっており、朝と昼には、小鳥のさえずりと小川の音で人々を癒してくれました。


しかし、夜は一転。


癒しの音は消え、不気味な暗がりが広がり、動物たちの声なんて全く聞こえなくなるのです。



その、昼と夜に全く違う姿を見せる森を、人々は【明暗の森】と呼んでいました。



噂では、夜になると魔女まで現われるんだとか。


怖くて、夜にその森に近づく者は誰もいませんでした。



ところが、その国の王子様は言い付けを破り、夜暗い闇の森へと入ってしまったそうです。


朝、騎士が見つけた王子様は眠っていました。


特に傷もないので、皆安心していたのですが、目が覚めた王子様の様子がおかしいのです。


急いで魔術師に調べてもらうと、王子様は魔女に呪いをかけられていました。