「キャー―!!!雪先輩!!!」


「雪サマ―――!!!」




いつもの朝。



そしていつもの黄色い声援。




「雪センパイ!!」



の中に響く心地よい低い声。



「おはようございます。今日も朝からセンパイに会えるなんて、俺嬉しいです。」



微妙な崩しも見せない完璧な微笑みに合わせ、甘い台詞をサラリと言う。



「センパイもそうだといいな。本当なら一日中目を離さないでいたいくらいなんですけどね。」



ため息混じりに言う切なそうな
表情も見方によればとても色っぽく素敵だ───────





なーんてあたしが思うはずもなく、毎日毎日懲りずに飽きずにあたしを口説くこの女タラシの橘くん。




あの日以来、以前にもまして
接触が頻繁になった。




「おはよう、橘くん。こんな全校生徒の前でそういう恥ずかしいことは止めてくれない?」



腰に手を置き橘くんに振り返り
言うと




「やっと俺を見てくれましたね。」




なんて笑顔で言うものだから
反論が出来なくなった。




でも橘くんはそれをいいことに
更に言いよってきた。