「あ、先輩まで笑って!!俺は一途なんですよ!この半年間先輩しか見てないんですから。」



そう言って緩んだ瞳をあたしに向ける橘くん。




知らないうちに頬が熱を持つ。



知られたくないために、すぐに後ろを向いた。




「さ、そんなこと言ってないで練習、練習!」


「え、センパイ!!!」




後ろから落胆の声が聞こえたけど気にせず練習に入った。






でも、何なんだろう。


胸が騒つく感じ・・・




いや、橘くんの容姿に騙されてるだけだ。



あたしのためにやったって言ってるけど、信頼していいの?



ううん。外見だけだ。
中身まで変わるはずがない。


あたしのためにそこまで自分を変えたりしないだろう。



もうあんな想いはしたくない。



橘くんだってきっとムキになっているだけ。


あたしが普通の女の子みたいにうまくいかないからムキになって口説こうとしているのだ。



付き合ったとしても、きっと
そのうち目が覚めて気付くんだ。




《俺が求めていた人は君じゃない。》




そして、あたしを置いていくんだ。