「本当はそのつもりだったが、宴会で疲れた。寝る。その代わり明日の晩はお望み通りにしてやるからな」


“だから今日は口付けだけだ”。海理はそう付け加えた。

なんとか今日は身が守れて安心したものの、明日は確実にやられる。ため息が出そうだ。


「少し前に雪達に彩十の布団を敷くように命じておいた。じきに来るだろう。
まったく、布団も敷かずに寝るとは何を考えているんだよ。
敷かれたら運んでやるから、お前は寝ろ。
それから……味噌汁、もう少しマシに作れなかったのか? まあ、いいか」


言葉遣いが妙に優しい。笑顔も今まで見た中で一番柔らかいと思う。

こんなに海理って優しかったっけ? 気のせい? 初めてこんな姿を見た気がする。


「おやすみ、海理……」

「ああ」


そしてそのまま再び眠りの世界に戻って行った。