他に適当な言葉はないからとはいえ、やっぱり嫁と言われると複雑な気分になる。

「守れなかったその時は……覚悟しておけよ」

そういう海理の声は先ほどよりも低く、

目つきもまるで本当に殺されるのではないかというほどに恐ろしかった。……逆らわないようにしよう。


「この話はこれくらいにしておいて。朝にも言ったが、明日は儀式を行った事の報告を里中に知らせる。
お前達のところで言う、披露宴みたいなものだ。
そんなに力んで挑む必要はない。お前は俺の隣にいるだけで喋らなくて良いから」


思えば海理や雪、月花以外の異形の者の姿をまだ見た事がない。

こいつらはきっと人間の皮を被っているだけで、

実際は鬼のような姿の恐ろしい奴だと思う。だから怖かった。

他の奴らは人間の姿なんてしていないと考えるだけで。