雪が撃った男の腕を食い千切ろうとしたのを制止したその時。


《長ぁー!!》


上空から数十分、否数時間ぶりかもしれない。

哉の声が聞こえ、暗闇だった世界が更に色を濃くしたのは。

やって来たのは哉だけではない。哉が呼んだのだろう。鳥の大群が雪を相手している村の奴らを一気に襲いだす。


《あ、長! 傷だらけな上に微妙に変化まで! 大丈夫ですか!?
此処は俺達で何とかしますから。急いで、急いで! ほら、雪も!》


鳥達に襲われる連中は避けようと必死になりだし、オレ達はどうでも良い様子だ。

此処は哉の言う通り、奴に任せて先を急いだ方が良さそうだが……

足をやられてうまく走れない。困ったものだ。これでは間に合わない。