永久の贄[BL]

遡(さかのぼ)れば十年以上前。オレの父が長だった頃。

父親を喜ばせようと、大好物である里と村の境目辺りにしかない果実を摘みに行った時の事だ。

そこでオレは運悪く、見た目は同じ年頃の人間四人と鉢合わせになった。

周囲から“絶対に人間との騒動を起こすな”と言われていたし、当時のオレはまだ力が弱くて。

怖がる事もせず、一方的に“悪い奴”と決めつけて来た四人に袋叩きにされた。

力が弱いとはいえ、手を出せば相手に大怪我をさせる事もある。だから手は出さなかった。

それを良い事に四人の暴力は次第に派手になって行き、流石のオレでも命の危機を感じた。

意識が遠のきそうになったその時だ。


「皆走るの早いよぉ……って、何しているんだよ!?」


遅れてもう一人人間がやって来た。ああ、こいつも加勢するのかな。

そしたら更に死期が早くなるかもしれないな。