その表情をすると言う事はまだ何か策があると言う事だろう。

考えられるのは二つ……いや、三つか。一つ、助太刀に仲間がこの場へやってくる。

二つ、自分達を倒してもこの先に他の仲間が待ち構えている。

三つ、これは事実であったら正直厳しいが……先程の弾に毒が仕込まれていて、

雪が危険に晒され、オレが動揺するのを誘っている。


「何がおかしい」


その答えを確かめるように、男に尋ねた。

すると男は俺達を見下すかのように、高らかに言って見せた。


「いずれにしてもお前達は湖に行けても彩十を助ける事は出来ない。何故なら……」


そこまで言いかけて、男は突然その場に倒れた。オレを攻撃した事で軽く我を忘れてしまった感がある雪のせいだ。

雪が男の背後に忍び寄り、頸椎を思い切り叩いたからだ。

雪は怒ると力の加減を知らなくなる。だから頸椎を叩いた事により、その骨が折れて即死なんて事もある。